茶会の流れ

最近は茶会といえば大寄せの茶会を指す場合がほとんどですが、
ここで紹介する茶会は美風流の正式な茶会の流れです。
正式といっても改まったものではなく、とても自由な文人趣味の茶会です。
客人は、作法をまったく知らなくても楽しめる世界です。

通常5名限定です。
人数が多くなるほど空気は乱れます。
亭主とゆっくり語り合うにはちょうど良い人数です。

ある年の六月。
家元山居「怡心軒」
梅雨の最中、空は雨模様ですが、これもまた良いものです。


「通仙」の茶旗が客人たちにとって、茶席の目印です。
山居ゆえ、数百メートル遠くからも見つけることができます。




玄関では、今朝亭主が庭や裏山で手摘みした草花が出迎えます。





玄関脇の小部屋で身支度を整えて、中国風の文房に入ります。
柳に燕の掛け軸と対聯です。




まずは香のお茶を召し上がっていただきます。
この日は濃く淹れた紅茶を氷の上に注ぎ、
好みに応じて、庭のハーブをトッピングして召し上がっていただきました。
一息ついて、茶席へご案内です。



本日は客人の希望で椅子席です。
床の間には、文人が滝の側で琴を小脇に抱えて水音を聞いている山水画です。
「奥田天門画」
花は庭の湿地に満開の「半夏生」
瑠璃柚の水盤にたっぷりと入れました。
脇床には古琴と風知草の盆栽です。
テーブルの代わりに金魚鉢です。
もちろん庭の池の金魚たちです。
茶席に案内された客人たちは、思い思いにしつらえを拝見して、着席します。




手前座です。
今日は四方棚の手前です。



もちろん亭主が自ら茶を淹れます。
文人茶の基本です。
茶葉は宇治田原 大正園製玉露「黄檗の露」です。

茶を淹れながらも話は弾み、清風の世界へと導かれていきます。




急須は三国丹祐作「木米写し交趾荒磯紋様」です。
茶碗は二代清川吉兆作「五彩茶碗」です。
亭主がお気に入りの、愛玩道具でもてなします。
菓子は行基堂製「朝顔」です。もちろん亭主と息の合った菓子匠のものです。
茶を楽しみながら、話は尽きませんが、亭主は次の用意の為、途中で退席します。

楽しみの食事の始まりです。
普段は、中華風の精進料理、つまり普茶料理ですが、
この日は希望により、和洋折衷の献立です。こんなことも許されるのが煎茶茶会の良さです。
もちろんここでも亭主の手作り料理のもてなしが基本です。

献立のいくつかを紹介いたします。
 

前菜二品です。
生湯葉、手作りこんにゃく、白太加賀きゅうりの白和え
器 芭蕉紋様高蒔絵碗

焼き茄子、山椒味噌添え
切子碗 保谷硝子

 

枝豆の磨り流し じゅんさい添え
輪島塗碗

加茂茄子の煮浸し
三代清水六兵衛作 福禄寿碗
前日、京都の友人から送られてきた初物の加茂茄子です。
急遽献立に加えた一品です。
添えの木の芽は裏山で自生しているものです。
香が際立ちます。

 

様相は変わります。
鰈のポワレ 香草風味
伊万里角皿(明治初期)
庭の香草、ローズマリー、タイム、パセリを使っています。

牛ばら肉のポルト酒煮込み温野菜添え
酒井田柿右衛門 鳳凰紋様皿 明治期




黒米ご飯と香の物(瓜、水茄子)

酒、料理、器も楽しみます。


最後はお遊びの席です。


この日は客人の希望もあり、洗硯会です。
亭主愛蔵の硯を水に沈め、石の美しさを楽しみます。
満腹の後は、中国茶です。
この日は台湾の高山茶を、伊万里(昭和初期)のデミタスカップで頂きます。
話は盛り上がり、尽きることはありません。
すでに茶は六碗目。

この後、興に乗じて揮毫が始まりました。
亭主は山水画を、客人達は思い思いに画や文字をしたためます。

この日はおよそ7時間。
客人が帰ると言うまで終わることはありません。
あっという間の清風のひと時でした。



※茶会について、多数のお問い合わせありがとうございます。




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